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概要
そもそもメタバースの定義とは
- 英語の「超(meta)」と「宇宙(universe)」
メタバースは明確な区分が難しく、「メタバースを含む要素があるか否か」。スマートフォンのゲーム、コンソールゲーム、SNS、ライブ配信サービスなど幅広いサービスでメタバースと言われている。
どのような企業やプロダクトがあるのか
- 海外
- meta(facebook)
- テンセント(2019年より)
- フォートナイト(ゲーム)
- 国内
- GREE(REALITY)
- DeNA(iriam、Pococha)
- サイバーエージェント(アメーバピグ、ピグライフ)
- 任天堂
- Nintendo Switch用ゲーム「あつまれ どうぶつの森」
- バーチャル・エイベックス
- バーチャルアーティストのプロデュースやバーチャルイベント・ライブの企画制作など
- バーチャルエンタテインメント事業
「メタバース元年」の中国、9月から商標申請3000件。Facebook砲には「リブラの二の舞」警戒も
https://36kr.jp/157518/
日本のみならず海外でも市場が広がっており、今後が楽しみな領域の一つである。Meta(旧Facebook)が参入してくることで話題になっているが、2年前ほどから各社プロダクトをリリースor構想を発表してきている。
国内のメタバース企業・プロダクト
GREE
GREEはこの領域に200億円投資すると宣言して2-3年が経過した。
子会社のREARITY(旧:Wright Flyer Live Entertainment)を2018年4月作り、プロダクトを展開。REARITYは海外展開もすでにしており、これからの展開から目が離せない状況となっている。
メタバース参入をあえて宣言
REARITYはすでにメタバース要素を含んでいるプロダクトだが、IRや社の方向性を示すためなのか8月にプレスを出している。
グリーは2021年8月6日、バーチャルライブ配信アプリ「REALITY」を手掛ける子会社のREALITYを中心に、多数の利用者が同時参加できる仮想空間「メタバース」事業へ参入すると発表した。2024年までに100億円規模の事業投資を行い、世界中で数億人のユーザーを獲得するという。合わせて200人以上の開発者の採用も計画する。
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2108/06/news149.html
REARITY
DeNA
DeNAはメタバースの領域で下記のIRIAMを買収したことは記憶に新しい。詳細な違いはあれど、大きな方向性で「キャラクター×ライブ配信プラットフォーム」は上記したREALITYと同じ文脈での展開だ。
ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>は、この日(7月2日)、持分法適用会社でライブストリーミング事業を展開するIRIAM(イリアム、塚本大地社長)の株式を総額120億2600万円で筆頭株主のZIZAIより取得する、と発表した。本追加取得の後、IRIAM社はDeNAの100%子会社となる。8月1日に取得する予定だ。
https://gamebiz.jp/news/299742
DeNAのライブ配信ナレッジ
Pocochaがこの2年で通期200億円レベルの驚きの売り上げ成長を遂げている。このライブ配信で得た運用・グロースのナレッジをIRIAMに全力で注ぎ込んでいくと述べている。
キャラクターの制作周辺のナレッジは元々ソーシャルゲームを作っていたり、買収元の会社でオペレーションが一定作られているとするとこちらも面白い。すでに一部は海外展開しているようだ。
GREE、DeNAの2社以外にも各社参入してプロダクトを展開しているがそこまで規模化されているものがないように思える。なのでこちらでは2社の紹介にとどまっておく。
メタバースの課題
抽象的な概念の話に終始せず、プロダクトへどう落とし込むかが大切
「メタバースは『アーキテクチャ宇宙飛行士』(具体的な処理については話さず、抽象的なことばかり話したがるエンジニアやデザイナーの意)にとってのハニーポット(わな)。私はそこに頭を悩ませている。抽象的なことは何かを構築するときには重要でない」
「抽象的なことより具体的な製品の改善」 Oculus顧問CTOが語ったメタバース実現の課題
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2110/29/news207.html
Oculus の顧問CTOも上記のように述べている。現実的にプロダクトをどう作っていくのか戦略立て、実行する立場からすると今のフェーズは難しそうに見える。それをコメントしているようだ。
メタバースはあくまで概念として捉えるのが良く、プロダクト設計にどのように落とし込むかが大切で、コメントをみる限りだとMeta社はその辺りが模索中なのだろう。
メタバースの概念を学ぶのにおすすめの動画
竜とそばかすの姫の監督は細田守氏。元々デジモンアドベンチャーやサマーウォーズなどの映画も手がけており、竜とそばかすの姫も大枠はかなり構成が似ている作品だ。
竜とそばかすの姫の構成
- 人と人のつながりをあらゆる側面から描く
- デジモン、サマーウォーズは「悪との戦い×人との繋がり」が構成
- 特に竜とそばかすの姫は「自己実現×人との繋がり」が新しく追加され、これまで通りの悪との戦いがある
- 悪と思われることにも正義があり、正義とは何かも考えさせられる
できるだけネタバレを排除して説明するとこんな構成でできている。
竜とそばかすの姫がなぜいいか?
田舎の女子が、歌手を目指して自己実現をしていく人生を描いており、SNSなど流行りの要素は入れて作られているので若い世代には特に面白い・共感できる作品だ。
- 自己実現をする際に苦悩する部分が描かれている
- 誰かに否定される
- 応援してくれる友人がいるが中々周りに周知にできない
- 上記のような苦悩はあるが少しずつ成果・注目され、拡がっていく
- 自信を持ち始め、さらに自分らしくいられるようになってくる
- 自分らしくあると他の人にもポジティブな影響を与えようと良い循環ができる
このような部分が個人の時代には非常に共感できる部分であり、良いと感じる部分である。
個人の時代に共感する部分が多い作品
昨今「個人の時代」と言われるが、個人にフォーカスされることは「何かに挑戦・自由には責任が伴い、何を言われても跳ね除けながらも強く自分らしくある」ということ。そしてそれは難しい。
人間皆が皆強い人ばかりではない。挑戦しても、否定されたら、やはり心が折れてしまうこともあるだろう。そういう経験が一度でもある人は特に共感できる。
メタ化×ライブ配信が求められている
竜とそばかすの姫の主人公のような人がYoutube、17live、showroomには多かった。しかし、このような媒体では「顔出し配信」が人気が出る傾向にある。どこかで「出会い」の要素があり、見た目が重要な要素として捉えられている。
tiktokもやや同じで、短尺で簡単に加工することができ、投げ銭などのマネタイズを考えずに個人が気軽に投稿してコミュニケーションがでできるサービスだ。ただ、これも顔出しが基本となっている。
見た目に囚われない個性を重視する時代への流れ
時代は進み、本当に個人の特性にフォーカスする場合に見た目は関係ない時代がやってきているように思う。
投稿に自信がない人でも挑戦しやすい
誰もが見た目に自信があるわけではないが、自信がない人には中々チャレンジしづらかったのが前時代のネットコミュニケーション・自己表現方法であった。
しかし、REALITYやIRIAMやVTuber、tiktokでのアバター化した動画などを見ると多くのユーザーに投稿利用され、閲覧するユーザーにも楽しまれている。これが大きな変化である。
メタ化の効率性(how部分)
※ メタ化
「自分を抽象的な概念にする」という意味で利用している。
自信がない人でも「効率的に自分を表現するための何者かになれる」という観点で、VTuberが流行り、そこからアバターの配信プラットフォームとしてIRIAMやREALITYが誕生した。
実名で登録して、写真を登録して、顔出し配信をするという人と使い分けられるようなサービスが増えてきており、どのようにメタ化するかが大事になってきた。そしてメタ化が楽にできると配信する人が増えてくる。
メタバースのビジネス観点
こちらの記事でも述べたとおり、
- コミュニケーションサービスのグロースの本質はコンテンツ量
- コンテンツ量=ユーザー数×投稿数
- 投稿数
- 誰でも気軽に投稿できるか(利便性以外に精神性の部分で利用したいかどうか)
である。自信がない人でも挑戦しやすい=コンテンツの総数が増え、広告でも課金でもどのようなビジネスモデルへの転換もできるということ。これがMetaになったFacebookの戦略なのではないかと私は考えていて上の記事を書いた。
ライブ配信サービスも投稿者と閲覧者のコミュニケーションサービスである。すでにFacebookにもライブ配信・インスタグラムにもライブ配信/ストーリーズなどもあり、山の登り方は違えど「コミュニケーションを作る点」において競合・サービスが一つの点に向かっているように思える。
終わり
本稿の補足無しにMetaの記事の意味を理解するのが難しい書き方をしてしまった。
ネットコミュニケーションの文化が緩やかに変わりつつあり・さらにネット環境・デバイスの環境が整ってきた。その中で、人間の本質である
- 「自己実現をしたい」欲求
- 「自分を表現する」欲求
- これらをどのようにやってあげるか
がポイントであり、今後のメタバース領域の企業がどうなっていくのか楽しみである。