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元々30人程度のベンチャー企業で1年半土日を問わず働き、今は5000人規模の大企業に転職した筆者が、組織への帰属意識について考えてみます。ベンチャー企業・大企業の事、キャリア、組織など考える中で、思う事があったので書いていきます。

まず、帰属意識とは?

何らかの集団やコミュニティに所属していると感じること。

引用元:http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B5%A2%C2%B0%B0%D5%BC%B1 Wikipediaから引用してきましたが、 定義自体が曖昧なので、企業に置き換えて噛み砕いていきます。 また、古いですがとても良い資料を見つけましたので貼らせていただきます。 http://www.le.chiba-u.ac.jp/~kaoru/ronbun1.pdf ここに書かれているものは古いですが、企業・組織においての本質は変わっていないと思います。 体験などを踏まえて具体的に考えていきます。

企業において帰属意識を持つこと、高めるために必要な事とは

  • 企業理念の浸透。
  • 社員同士の繋がり(縦・横ともに)、企業文化

ざっくり考えているのはこの2点。

1点目は、企業理念の浸透

1つ目に関しては、企業理念の浸透です。 そもそも企業が何のために存在しているのか? どこを目指しているのかが分かっていなければ、ゴールがないようなもので、 最近では独特なビジョンを掲げる会社も増えてきていますよね。

そうして他社と差別化しなければ、新しく入ろうと考えてくれる方も居なければ、 既に働いている従業員は『お金』だけを目当てに働く事になり、 満足なお金を得られなければ転職します。

独特なビジョンを持つ事=帰属意識が高まるとは限りませんが、 一つひとをつかむという意味では必要な事なのではないかなとおもいます。 このような点から、ビジョン・企業理念は帰属意識を高めるのに非常に重要だと考えています。

ビジョンを決定するのは非常に難しいですが、 ゴールに対して、社員全員が同じ方向に向かう事ができ、団結力や迷いがなくなります。 曖昧なビジョンでは、迷いを生んでしまい、 帰属意識など生まれにくいと考えるのは容易ですよね。

大企業での帰属意識を高めることの難しさ

2013/12/10 追記 30人規模のベンチャー企業から転職して大企業に来て思った事は、大企業の人間で中途入社の人間の場合ビジョンに共感で残る、帰属意識が高くなるという事は悲しい事にほぼないという事。 そのパターンは、更に2通りに別れています。

  • 能力が高い人 ⇒自分の好きなようにやりたい、それが出来なければ・満たされればまた違う事に興味が湧いてきます。
  • 能力を転職で高めたいという人 ⇒経験が積めたらそれを使ってより挑戦 or 評価次第で転職

特にエンジニアの場合は給与に目を向けているケースが多く、大企業の仕組みに耐えきれなくなってきた人間は他の企業にお金で移動するでしょう。

ですから、評価精度と採用・育成のバランスを考えて企業の事業における人数のバランスと評価の調整が特に重要だということが分かりますね。 人数が多いので評価基準次第で上がってしまうから以前より厳しくというのはありがちですが、それは人事と経営の怠惰です。そういう場合人が動くでしょう。

2点目は、社員同士の繋がり、文化の構築

2つ目は、社員同士の繋がり、文化の構築です。 『誰々がいるから』というような尊敬出来る人がいる、 そういう理由で会社に行けることは、素晴らしい事ですよね。 仕事上だけではなく、個人としての繋がり・楽しめる文化を構築することが帰属意識を高める 有効な手段の1つなのではないでしょうか。

そういうポジティブな人が多い会社は人が残り、大きくなっていきますよね。 これが就職活動の時によく言われる『一緒に働きたい人』なのでしょう。

帰属意識の低いのではないかという人の特徴とは

当たり前ですが、帰属意識のない人は遅かれ早かれ居なくなります。 これは、つまり企業として大きくなれない、若しくは人がいなくなり規模縮小 勿論、企業としての成長スピードが早く、 人材流失 < 人材確保で 人材が集まるような高収益企業か、人材系の会社のように元々流動性の高い企業なら別ですが。 帰属意識の低い人の特徴としては以下の事が考えられます。

  • 会社のやるイベントには参加しない
  • 給料だけがその会社にいる目的
  • 会社に提案(ビジネスモデルに関わる・収益最大化に直結するもの)をあまりしないが、仕事は長時間する。
  • 能力が高い(帰属意識の低いと感じる人の約8割)自分の仕事が終わればそそくさと帰る

この様な人はそもそもその企業・組織にいる理由が少ないため、 しっかりとした成果・評価軸を設けて、個人の評価を的確に行い、 会社にいる理由・モチベーションを高めないと離れていきます。

成果・評価軸をどう創るのか。

これはどの企業も考える事だと思いますが、私が個人的に面白いと思っているのが 面白法人カヤックです。 皆さんご存知の方も多いかもしれませんが、 『サイコロ給』『スマイル給』など独自の評価制度を設けています。

成果・評価軸を明確に設けているのは、大企業・中小でも社歴の長い企業が多いと思います。 ベンチャーや急激に成長している会社は、まだ人事面・評価面が整っていないケースが多いですね。 さらにベンチャーにおいては、ポテンシャルで採用しているケースもあり、正当に評価することが難しいかもしれません。

まだまだ規模的にはベンチャー企業であるカヤックの『サイコロ給』『スマイル給』は、業績に直結する成果のみでは その人を正当に評価出来ないという事で設けているそうです。

社外の人は面白い事をやっているで終わってしまうかもしれませんが、 しっかりと人事面・評価面を考えて、社員・人を大切にしているということが伝わります。 企業も法人という意味で人です。 人と人の信頼関係はこういうふうに作っていくものなのですね。

理念浸透にはリーダーシップが必要

先導出来るようなビジョンを掲げ、 それを実現できるのではないかと思わせるような強烈なリーダーシップが必要ですね。 こうした事を変えていけるのは、リーダーやマネージャーで ある程度基盤を築いている必要があります。 サイバーエージェントの藤田社長の愛読書である 『ビジョナリーカンパニー』という本がありますが、

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社長は常にビジョンを描き、社員に浸透させ、導いていく必要があります。 藤田社長はCAのような企業文化を作り、社員を鼓舞し、帰属意識の高い社員が社のために 努力した結果今があるのでしょう。 ※2011年6月12日現在の時価総額で広告業界2位の博報堂(1591億円)を抜き、サイバーエージェントグループが 時価総額(1878億円)で抜きました。

こういう文化・カルチャーが好きだという方はサイバーエージェントが合うかと思います。 ⇒サイバーエージェントへの転職を考える方はこちら Twitterで丁度藤田社長のbotが呟いていたので、こちら追記しておきます。

2013/01/15追記 成長とか抽象的な言葉を出して、求人する企業が多いですが 実は『文化の構築こそが人を引きつけ、人をとどまらせる唯一の方法』かもしれないと自分は考えていて、 かなりわかりやすい例だと思います。

人を評価するということ

マズローの5段階欲求のピラミッドの上から2番目に自我欲求というものがあります。 【参考】 Resource Center : リソースセンター : マズローの欲求段階説

これは簡単に言えば他の人から認められたいという欲求の事です。

会社や組織に入らなくても誰しもが持っていますよね。 自分が会社に勤めているのであれば努力を正当に評価されたいと誰しもが思っているはずです。 そこで重要なのが評価制度・何をもって努力を評価するかを決める事だと思います。

上記で挙げているサイバーエージェントはそこの評価も極めて透明で、 社員もモチベーションのコントロールがしやすいのではないでしょうか。

サイバーエージェントは色々な子会社を作って優秀な人やまだ経験が浅いがポテンシャルの高い人を 採用しているのでこれだけの成長ができたのでしょう。

またフラットな社風と言っている会社は多いですが、 誰の給料であっても透明化し、努力が反映される・これをやれば評価されるという軸がなければ 受け身な人には良いですが、自分から提案していくようなポジティブな人はどんどん離れていくでしょう。

サイバーエージェントの社風や文化を知ることができる書籍としてはこちらがおすすめです。入社前にサイバーエージェント社員に配られているということは有名です。

企業を先導するということ

上記で企業の帰属意識を高めるためには、文化・理念が必要で それを構築するのはリーダーやマネージャであると述べました。

リーダーの役割はシンプルです。 あの、マッキンゼーに入り、ハーバードでMBAまでとったDeNA社長の南場さんは 社長になったら役割が変わり、どれだけ好かれるかだと考えたそうです。 これはその通りだと思いますし、合理的な判断ですよね。

今のDeNAの成長や勢いを見ていると、まさに社員にもクライアントにもユーザーにも好かれる企業 なのだと感じます。 この好かれるということの具体的な手法がまた難しいのかもしれませんが、 好かれ方というのは人によっても違いますので記述は避けますが。

基本的には奢らず、面倒見が良く、真剣に向き合ってくれる。 これに尽きるのではないでしょうか。  組織の帰属意識について、拙い文章を書いてしまいましたが、 帰属意識を高める方法は、

一言でまとめると理念や文化を構築し、浸透させ、1つの方向に先導する リーダーが必要であり、小さな事であっても評価する軸を設けるという事ではないでしょうか。

まだまだ自分は勉強中ですが、 自分が今いる場所を振り返り、自分は何故ここにいるのか、何をしたいのか、どこを目指しているのか を日々考え、軌道修正し、価値を生み出していきたいものです。

サイバーエージェントやカヤックへの転職を考えている方に、お勧めの転職サイトをご紹介しておきます。 フリーランスとしてエンジニアやクリエイターになり、高い報酬を欲しいという方はレバテックがお勧めです。

正社員よりも多く給料が貰える、その差は1.6倍とも言われています。 正社員でなく、高い報酬を貰って自分でスキに働きたいという方にはお勧めです。 ⇒サイバーエージェントへの転職を考える方はこちら

サイバーエージェントのエンジニアについての記事があったので、こちらもおすすめしておきます。
サイバーエージェントの主席エンジニアの退職から見るエンジニアのキャリア構築の複雑さ
http://rplay.me/2852

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公式サイトへ

サイバーエージェントに4年半働いていた、筆者が起業したリアルの記事を書きましたので、
興味がある方はこちらも合わせてどうぞ。

スタートアップ、エンジニア経営者が1期目を終えて – 起業のリアル
昨年の6月に起業してから約1年が過ぎました。あっという間の1年で色々な事業やサービス、メディアを考えて、作って、潰しての連続で、理想に対する現実とのギャップに色々考えることもありました幸運にもサイバーエージェントという企業でエンジニアをして
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