読了: 約 7 分
プロダクト・サービスを作り、成長させる役割を持つ職種としてPM職がある。CPO(チーフプロダクトオフィサー)へのキャリアは自分で起業するか、PO/PjMPdM/PMMの先にある。CPOを目指さないとしてもPM職種として「どのように生きていくのか、どんなキャリアがあるのか」PM職種のキャリア相談されるケースも増えてきたので考えるポイントを整理しておきたい。
概要
誰向けの記事か
- PMとしてのキャリアを考えている方
- PMの採用を考えている方
PM職種の定義
PM職の採用や育成も昔より進んできており、ビジネス職種として確立してきた。PM職の人材が増えてきたこと、1企業にPM職種が増えてきて評価・配置などをしっかりやる流れができて職能が定義され始めた。PM職の中での領域のスペシャリストとして細分化されてきた部分について整理してみる。
CPO(チーフプロダクトオフィサー)
私がCPOとして経験してきたこと、2017-2021年にかけて日本でも増えてきたCPO職については下記記事もぜひ。
PO(プロダクトオーナー)・PjM(プロジェクトマネージャー)
- PO
- キャリア
- 事業責任者(ほぼPO同義)でなる、PdMから昇進するケースが多い
- 役割
- 1サービスの事業責任者(プロダクトの企画立案、戦略、実行、採用、評価、場合により育成)、小さいサービスであればPdMとほぼ同じ意味であり、同じ役割である
- サービスの成長時、複数のPjM・PdMをまとめて1つのサービスとしての戦略や思想を伝える
- キャリア
- PjM
- キャリア
- マーケティング、営業、開発ディレクターなど様々なポジションからなるケースが多い
- 役割
- 事業戦略・設計、アライアンス、営業、プロジェクト管理、メンバーアサインなど
- キャリア
この2つがほぼ同じ説明になったのは職種として名前は広がり始めたが明確な定義がしづらいためである。企業規模が大きくなるにつれて役割における仕事量が増えて責任の所在や役割を明確にする場合にのみ使用されるが多くの企業で詳細な定義をつけることにあまり意味がない。
PdM(プロダクトマネージャー)
- キャリア
- 営業、マーケティング、開発ディレクター、エンジニア、デザイナーなど幅広いポジションからなる
- プロダクトによりドメイン知識が豊富な人がPdMになる
- 開発者バックグラウンドがあると要件定義/分析の文脈からPdMになる
- 営業、マーケティング、開発ディレクター、エンジニア、デザイナーなど幅広いポジションからなる
- 役割
- マーケティング、プロダクトに近い距離でプロダクトドリヴンでグロースさせる戦略・施策の立案から実行
- ユーザー獲得戦略・集客戦略などを考慮したProduct-Led-Growthの戦略-実行
- ソフトスキル
PMM(プロダクトマーケティングマネージャー)
- キャリア
- マーケティング、営業、ディレクターなどから
- 役割
- プロダクトを、マーケティングを駆使してグロースする役割。
- Paidの戦略施策設計、キャンペーンの実行(マーケティング職・企画職からなった場合)
- Paid担当者の分岐パターン
- 自社のアフィリエイト機能やクーポンが実装されている場合それの活用からのユーザー獲得・売上成長を目標として担当するパターン
- PF(SEM/SNS)、純広告、ASPなどのadを活用するパターン
- Paid担当者の分岐パターン
- ビジネスアライアンスの戦略・施策立案から実行
- 業務 CRM、MAの活用
- 新・既存機能を通してどのようにグロースしたらいいか施策・戦略立案、チーム形成から実行まで行う
PM共通
- 業務
- ユーザーストーリー・カスタマージャーニーの作成
- 要求定義(各ファンクション・ステークホルダーからの収集を含む)
- 要件定義
- ワイヤーフレーム作成
- プロダクト、開発サイドとの連携
- 各ファンクションとのコミュニケーション・意思統一
- 各業務スコープにおけるプロジェクトのスケジュール管理・タスク管理
中長期のPM職種の働き方・生き方
自身の得意なフェーズ・強みからPMキャリアを考える
- 0-1が得意(ビジョナリータイプ、小規模スタートアップ向き、スタートアップCPOタイプ)
- 趣向
- 世の中の課題を見つけることが得意
- 世の中のサービス・変化を呼吸のようにし続けることができる
- サービス・プロダクト開発が人生のウェートの多くを占める
- 思考
- 「組織もプロダクト」と心の底から思える
- PO、PdMの採用、育成、評価もやりたい。自分で一からプロダクト組織を作りたい
- 経験
- ファイナンス・マーケティングなども含めて経験したい
- 趣向
- 1-10が得意(オペレーションタイプ、シリーズA以降スタートアップ向き、スタートアップPO/PdM/事業責任者タイプ)
- 趣向
- 事業、会社のアセットを使ってグロースすることが得意
- 予算が見えていると最適な配置、最適な実行を行うことができる
- プロダクト・会社が伸びる係数は見えているがまだ事業・プロダクトが決まりきっていない状態が良い
- 思考
- 世の中の課題に対して解決策を見つけにいくタイプではない
- 経験
- ジェネラリストタイプで自分の経験をフルに活かして会社・事業に貢献したい人
- 趣向
- 10-100が得意(ファイナンスタイプ、アセットを活かしてより規模化)
- 趣向
- いろんな人(特にプロダクト周辺の人材)を動かしてプロダクトを作りたい
- 経験
- 安定した場所で大きな事業、会社のアセットを使ってグロースしたい
- 趣向
関わる人から今後のPMキャリアを考える
- スタートアップ
- アーリー
- 経営陣、少数なエンジニア・デザイナー
- 経営の意思決定にも関わるので経営陣のビジョン、会社のMVVに共感できるか
- セールス、カスタマーサクセス、マーケティング
- 特にシード〜シリーズBはプロダクトサイドが細かく各セクションを動かす必要があるので積極的に関わることができるか
- 経営陣、少数なエンジニア・デザイナー
- レイター
- 経営陣、PO、PdM、各セクションのマネージャー(エンジニア、デザイナー)
- アーリー
- 中規模ベンチャー
- プロダクト管轄の経営陣
- PO、PdM、各セクションのマネージャー(エンジニア、デザイナー)
- メガベンチャー
- PO、PdM、各セクションのマネージャー(エンジニア、デザイナー)
- 人事、採用担当者
- 自身が継続的に採用にコミットするケース・求められるケースも多い
企業サイズ別でPM職種が得られること・求められること
スタートアップ
- アーリーステージ
- 求められること
- プロダクト関連について全ての責任を負う覚悟を持ち、実行。
- プロダクト=事業であり、それがファイナンスにも通じるためCEO並みの責任感を持つ必要がある(CEOがプロダクトの責任者であることが多いが分かれているときはCPO/PO/PdMにその気概が求められる)
- 得られること
- 経営戦略から逆算した事業・プロダクト戦略と実行により、それがファイナンスにつながることによって会社成長まで経営者の近くで全て経験でき、骨肉化しやすい
- 仕事における信用・信頼が会社(ブランド)ではなく、個人につけられること
- 求められること
- レイターステージ
- やること・求められること
- 既存事業の1-10, 10-100の実行と組織づくり
- 複数プロダクトの場合、1プロダクトのプロダクトオーナー、プロダクト立ち上げ
- 得られること
- 上場の前後を経験できる
- ファイナンスなど、上場後にし変わらないようなことではなくプロセスを経験できる=いかにスタートアップにおいてファイナンスが大切かを理解できる
- やること・求められること
中規模ベンチャー
- やること・求められること
- 未上場で上場を目指す会社
- レイターのスタートアップと同じ
- 上場を目指さない会社
- 一般的なPdMと同じくプロダクトの成長を維持すること
- 未上場で上場を目指す会社
- 得られること
- 上記前者
- そのまま同じ
- 後者
- 安定したプロダクトマネージャー業務とその経験
- 上記前者
メガベンチャー
- やること・求められること
- 上場後の企業
- 新規事業、新規プロダクトなどプロダクト周りの戦略・実行
- PO、PdMのロールの人材の底上げ(採用、育成)
- 上場後の企業
- 得られること
- 充実した給与でプロダクトマネージャー業務とそれに関する経験
- POであればPdMの採用、育成、評価の経験。
- 一定の予算規模のプロダクトを作る社会的なインパクト、社会的な信用・信頼
今後CPOを目指す方向け:CPOになれるかどうかのポイント
企業規模
- 個人のカバー範囲の広いスキル・経験があれば、スタートアップになればなるほどCPOにはなりやすい
- 企業規模が大きくなると求められるスキルや経験以外にもヒューマンスキルが必要になるため、マネジメント力が必須になる。
成果
- 規模が小さいほど
- 求められるカバー範囲が大きく、水平に広い成果をあげやすい。ジェネラリストが求められてそして活きる
- 企業・事業の成長とともにスペシャリストが集まってくる
- 規模が大きいほど
- スペシャリストとしての活躍が求められる。CTOがいる場合は技術管轄以外でプロダクトにフォーカスする部分での垂直に大きな成果を求められる
評価
- 企業により異なり、CxOの抜擢がない会社で社内から昇進を目指すのは限界がある
これらの先に自分のなりたいチーム・組織でのCPOがあるのかどうか。
政治ありパターン
- CxOの外部登用が多く、社内からの昇進・抜擢が少ない場合
- 考えるポイント
- 今後自分がなれるのか、機会があるのか
- 文化背景
- 政治的な部分があるのかどうか(新卒文化、中途文化など)
- 新卒に機会を与え、中途の人が抜擢されない文化もある
- 考えるポイント
PM職種のキャリア選択のポイント
PM職種として働き・生き方としてわかりやすい選択肢を2つ用意してみた。どちらの働き方をしたいかによって大きくその先のキャリア(企業選択と人生設計)が異なるので参考にして見ていただきたい。
一定安定したキャッシュ、成果、やりがいを求める方
- 向いているフェーズ・ポジション
- 大企業のPO・PdM・PMMに向いている
- キャリア
- 大手企業・メガベンチャーだと安定したプロダクト関連業務に集中できる可能性がある一方、採用やマネジメントが評価になる
- スペシャリストとしてだけでなくマネジメントに関わる
- 機能単位・セクション単位などからの事業成長をさせる経験を経て、子会社の立ち上げなどに関わる可能性もある
- 人数が多ければ反比例してその機会の可能性が減少する
- 働き方・趣向
- 副業可能であれば副業をしつつ事業を仕込む(0-1得意タイプであれば)
- キャッシュを得て投資に回す(オペレーション、マーケタータイプ)
自由な意思決定して+中長期のプレゼンスを得たい方
- 向いているフェーズ・ポジション
- アーリーフェーズのスタートアップPO・PdM・PMMに向いている
- キャリア
- 上場経験・そのフェーズで実績を出すこと
- その結果名前が売れて箔がつく
- 上場後
- スキル経験、個人のwill次第で子会社、新規事業立ち上げなどを経験できる
- 中長期・退職後のイメージ
- エンジェル活動や新会社設立時にプロダクトを初期からグロースしたひと・会社を伸ばした人として評価される
- スタートアップのCPOに呼ばれる
- 上場経験・そのフェーズで実績を出すこと
- 求められること・役割
- 自分の力・経験で会社を含めてプロダクト戦略設計〜実行ができること、スペシャリスト集団であればマネジメントコストが低いので本質にコミットしたい方
- メリット
- 一定のキャッシュとSOをえられる
- リスク
- 安定した生活・仕事よりスピード感が求められる。