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最近、「デザイン力が競争優位性でインターフェースが素晴らしい。」という言葉がよくネイティブアプリの開発界隈、デザイナー界隈、経営者で言われているように思います。勿論、見た目の美しさ、操作したくなる綺麗さ、情報のまとまり方は何かのサービスを継続的に利用する上で、一部必要な条件ですが、それだけでは競争優位性を担保できない、とこれまで4年ほど様々な企業のコーポレートサイト、ECサイト、コミュニティサービス、ポイントサービスと関わってきて考えている事です。
ディレクターやサービスを担っている、サービスのマネジャー、プロデューサーといったビジネス要件に関わっている人だけではなく、エンジニアやデザイナーもよりその視点を持たなければ、継続的なサービス開発に携わる事ができないと考えています。ユーザーに使ってもらって、デベロッパーはそれに応じて継続的に対価を得るには一体どうすれば良いのか、職種問わず必要なことですので、もう一度整理しておきたいと思います。
何故、競合優位性をデザインだけでは担保出来ないのか
一言でいうと、見た目の美しさだけでユーザーは、そのサービス、アプリケーションを継続的に利用しないから。
どれだけデザインの美しさで注目されていたアプリやサービスがこれまで多く存在し、幾度となくニュースサイトに「良いインターフェースだ」と書かれて、その技術力が注目されては、なくなってきたことでしょうか。
そのアプリのいくつのサービスが、今も多くのユーザーに使われているのでしょうか。
恐らく1%もないのではないでしょうか。
こういうふうにいうとデザイナーの方々の反感を買ってしまうかもしれませんが、デザインによって競争優位性を担保して今でもなお、多くのユーザー(各個人の定義にもよりますが)使われているアプリがあれば紹介していただきたいくらい。
そして、そのアプリやサービスは、業界をかえるようなユーザー数を誇り、今後も持続的に使われて行く商品なのでしょうか。
勿論、時と場合にもよって、企業のキャンペーンランディングページではブランディグを主目的にしているケースがあり、そこでは見た目の美しさも一部クライアントを納得させるために必要かもしれません。
しかし、現在のようにインターネットを日常的に使うユーザーが増えて来ている昨今では、”シェア” されるか否かが意思決定之要因となっており、見た目の美しさだけのデザインでは、競争優位性を担保できないのです。
楽天市場のデザイン
良くデザインの話しで上がる、楽天市場のデザイン。
決して美しいとはいえませんが、国内最大、日本発のECサイトです。
市場には色々な業者が出品し、それぞれが画像やテキストで商品やお店をアピールして、しのぎを削って売り上げを上げています。店舗を持てないけど、商品を売りたいという業者にとっては、ネットオークション以外では非常に魅力的なサービスとなっています。流通額は流通サービスも含んでいますが、6.4兆円。これを超えるECサイトを創ることは、デザインの美しさだけではなんともなりませんよね。
ユーザー側から立つと、楽天市場で商品を購入した人は四半期で1,500万人にも登るようです。
これは国内のインターネットサービスの中でも非常に大きな数字です。
参照:http://corp.rakuten.co.jp/about/strength/data.html
デザインが美しいのは当たり前の時代
海外の記事で、デザインが似て来ている?というようなものが多くシェアされていました。
Googleのマテリアルデザインを筆頭に、スマートフォンのアプリ、ブラウザのサービス、プログラミング言語でフレームワークである「Ruby on Rails」で使用されている「Bootstrap」というデザインのフレームワークなど、サービスの開発の効率化、開発者が変化しても一定のクオリティを担保できるように、デザインが仕組み化されてきたのです。
そして、デザインを仕組み化してしまうと一定のルールに基づいて新しい機能が追加されたとしても、それは良く馴染み、時には”普通” だなと思う事もあるかもしれません。
しかし、逆にいうと設計されていないサイトやサービスはわかりやすく、一定のレベルにも達していないと見なされて使われないという状態になってきているのかもしれません。スマートフォンがこれだけ普及し、快適にインターネットに触れられる、触れる時間が増えて来てる中で、多くのサイトやサービスに触れるのですから一般ユーザーの目が肥えて来ていても何らおかしくないのです。
だから、デザインが美しいのは当たり前の時代が来ていて、上記したように、見た目のデザインがビジネス要件を満たし、競合優位性を担保するのは無理なのではないかと考えています。
まとめ
見た目だけのデザインの美しさではなく、競合優位性を保てないというのを書くのはデザイナーの方々に申し訳ないと思いますが、否定をしたいのではなく、各職種もっとビジネスに興味を持って高いレベルでサービスを提供していなかれば、ユーザーに本当に満足してもらえるものは創れないということです。
“ビジネスモデルを含めた全体のデザイン” の美しさを追求すべく、自己研磨していかなければならないという自分への反省を込めた記事でした。
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photo credit: Plage Colección My Wall via photopin (license)