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2024年は、当社にとっても私個人にとっても大きな変化があった年でした。
会社としては社員数が大幅に減少、売上は横ばいながらも、利益が億円増加する水準にまできたという結果を残しました。
組織面・事業面・マーケティング面のそれぞれでどのような取り組みや課題があり、何が成功に繋がったのかを振り返りつつ、2025年の目標・抱負を整理していきます。
社員数の大幅減少の背景と影響
昨年のリード売上の減少
昨年度はリード数・売上が減少しており、組織全体としてモメンタムを維持するのが難しくなりました。開発投資を控える判断をした結果、必要以上に人員を抱えられなくなったことが、正社員の減少となりました。
開発組織への投資の見直し
開発組織においては、一部のプロジェクトを縮小し、投資を抑制しました。加えて、有志で取得できる制度(副業・兼業など)を活用することで、開発組織の人数調整を行いました。その結果、人件費は削減されましたが、スピード感を持った新規開発や機能拡張に制限が出たというネガティブな側面もあります。
数億円増加の要因・サスティナブルな事業成長
AIをベースにした業務運用の推進
昨年の経営ブログを振り返るとAIへの投資はまだまだでした。2024年1月にAIに個人的に全振りするぞと誓い、動画生成・開発・マーケティングなど私自身の得意な領域でガツガツ活用。そこから光が見えてきたので、会社のマーケティングメンバーにインプットして、大きく躍進させることができました。
2024年3月以降、マーケティング・カスタマーサクセス・セールスの各領域でAIを積極的に導入しました。特に広告費や人件費を削減しつつ、MQL(メールマガジン購読者や見込み客)を増やす仕組みを構築したことが、大きなコストパフォーマンス向上につながりました。
デジタルマーケティングへの注力
オフラインの展示会やイベントなど、人員を大きく割かねばならない従来の手法を削減し、オンライン施策へ大きくシフトしました。デジタルマーケティングやフリーミアムモデルを採用することで、継続的にリードを獲得し、利益率を改善しています。
組織面の振り返り
AIドリブンな組織構築
社内では、Dify を使ったAIワークフローやチャットボットなどを導入し、各種ドキュメントやナレッジ(過去のNotionデータベースや顧客データなど)をAIに取り込む仕組みを整えました。これにより、社員がチャットボットを活用して社内情報に迅速にアクセスできるようになり、業務効率化 と 品質向上 が実現しています。
採用戦略の重要性
スタートアップにおいては即戦力となるリーダークラスの採用が不可欠である一方、育成リソースが限られているというジレンマがあります。
- リーダークラスから採用 することで、新規事業をスムーズに立ち上げ、マネジメント機能をすぐに発揮できる状態にすることが大切です。
- 中途半端な給与で中途半端なレベルの人を採用しない というのも一つの方針です。スキルや経験値の高い人材を確保することで、厳しい局面でも事業を打開できる可能性が高まります。
改めて、ここの徹底をしなければいけないなと考えています。
マーケティングの変化
展示会からデジタルマーケティングへ
これまでBtoBのリード獲得源としてオフライン展示会を積極的に活用してきました。しかし、リードタイムが長く、回収までに時間がかかるうえ、人件費も膨らむため、費用対効果は高くありませんでした。結果的に展示会への依存を減らし、広告・SEO・コンテンツマーケティング などのデジタルマーケティングを中心に据えた戦略をとることにしました。
コンテンツ作成とSEOの強化
- 事例記事やフリープラン紹介記事 を作成し、興味を持った見込み客を取り込む
- AIを活用したコンテンツ生成 によって、数万アクセス規模のトラフィックを獲得
- フリーミアムモデル によるユーザーの取り込みと、有料プランへの転換
こうした取り組みの結果、オンライン上のMQL獲得数が大きく伸び、リード育成も進みやすくなっています。
今後の展望
HR領域へのさらなるAI導入
弊社はもともとHRマーケット(採用支援や副業マッチングなど)を得意分野としており、2025年以降はAIエージェントをはじめとした先端技術を活かして、人材と企業を1秒でマッチングさせるなど、よりスピード感と最適化が求められる領域でサービスを展開していきます。
AIと人の共存による組織戦略
AIがデータやナレッジを一括管理・解析し、人間がその結果を活用するというサイクルをいかに効率的に回すかが今後の鍵になると考えています。
- AIにできること: 大量の情報や過去事例から最適解を提示する
- 人が担うこと: 創造性やコミュニケーションが必要な場面での意思決定、顧客・候補者との信頼関係構築
このように、AIと人が共存する新たな事業・組織モデルを目指し、2025年以降も成長カーブを描いていく計画です。
私自身の振り返りと今後の展望
サンフランシスコのスタートアップシーンを見ていると、プロダクトだけでグロースを狙う “プロダクトドリブン” 企業が多いのは確かです。しかし同時に、世界で成功を収めているSaaS企業の多くは、プロダクトの強みに加えて、マーケティングやカスタマーサクセス、セールスといったビジネスチーム を強固に築いているのが特徴だと感じます。
日本のスタートアップ界隈では、エンジニアリングリソースを優先しがちですが、ビジネスチームをいかに伸ばすか という点も重要度が増してきています。特にHR業界では、ITツールに対するニーズはあるものの、人間関係や企業文化など、プロダクトだけでは把握しきれない側面が大きいのが実情です。そうした理由から、営業・CS(カスタマーサクセス)といった “人が動く” 役割が、非常に大きな影響力をもつと考えています。
そのため、私自身はここ数年、マーケティング・カスタマーサクセス・採用を一括して管掌し、COOとしての業務を強化 してきました。海外のSaaS企業の成功事例を見ても、プロダクトとビジネスチームを切り離して考えるのではなく、一体的に運用してこそ大きな成果が得られています。スタートアップのスピード感を保ちつつ、より広い視野で事業全体を見渡すことが必要不可欠だと痛感しています。
また、私自身が商談獲得から商談実施、売上計上に至るまでをハンズオンで行うことも続けています。サンフランシスコでも日本でも、早期のスタートアップにおいては、創業メンバーが “足を使う” ことで得られる顧客理解やマーケット知識が、次のプロダクト改善や営業手法にダイレクトに活きるからです。
特にHR業界は、人と人がマッチングされる領域のため、ビジネスチームがクライアントと密にコミュニケーションしながらニーズを掴み、プロダクトへフィードバックする 流れが欠かせません。
もちろん、理想を言えばプロダクトの完成度だけで自然にユーザーが集まる “プロダクト主導” のグロースが望ましいことは確かです。しかし、スタートアップ初期や競合の多いマーケットでは、プロダクトそのものだけでなく、それをサポートする組織体制や実際に稼ぐ力を持ったビジネスチーム が必須だと改めて感じています。
今後はプロダクトを磨きつつ、この “足を動かす” 現場感をどう組織に落とし込み、スケールしていくかにチャレンジしていきたいと思います。
まとめ
2024年は、組織が大きく変化しつつも、AIの活用によるコスト削減 と 売上維持・利益増 を実現した節目の年でした。
- 社員数減少 のネガティブな面もありながら、利益増加 というポジティブな成果
- Dify を活用したAIワークフローやチャットボット導入で、業務効率化 と 品質向上 を実現
- 展示会依存から脱却し、AIドリブンなコンテンツ戦略 でより質の高いリードを獲得
- スタートアップとしての採用戦略を見直し、リーダークラスの即戦力 を確保する重要性を再認識
2025年以降は、さらにAI技術の進化が加速し、人間との共存モデルが求められる時代になります。弊社としては、HRマーケット での採用支援・マッチングサービスを軸に、AIの力を活かして組織や事業の成長を目指してまいります。
今後ともよろしくお願いいたします。