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ディレクターという職種について、前回ディレクターは全員グロースハッカーにすべきという極論を記事にしましたが、残念ながら、特に大企業や多くの会社ではすぐに会社の形態や職種毎の働き方、人の考え方が変わるわけではありません。

勿論職種に関わらず、ディレクション・管理のようなものは、社会人の基本的なスキルだというのが真っ当な意見ではありますが、デザイナーが、イラスト、グラフィック、Web、などをデザインし、エンジニアがコードを書くように、ディレクターはその中で自分たちの職域においてバリューを発揮させる必要があります。

実装・作業をし、ディレクションをした経験がある人から見る『ディレクションやマネジメントは経験が重要だが、先に知っておくべき事』『ディレクターと呼ばれる人が最低限やる、考えておかなければいけない事』をまとめてみました。

1. タスクに関係ある人のスケジュールを把握する、ディレクションの意味を考える

当たり前のように思いますが、タスクに関係ある人のスケジュールを把握せずに、『タスクを入れたいのですが~』『いついつ空いてますか〜』などのように直接コミュニケーションを取ろうとする人がいます。このようなプロジェクトでスケジュールを把握する・可視化出来る方法がないために聞いている事案は、積み重ねると膨大な時間になります。

こういう不要なコミュニケーションを排除し、チームメンバーの作業を可視化するためにガントチャートや、Trello、Jiraなどのタスク管理・スケジュール管理ツールがあるので、物理的なコミュニケーションにおけるディレクションだけでなく、『ディレクション』の意味を考えましょう。

2. 作業者の時間を無駄に取らない

ディレクションというのは、『単純に管理するのではなくチームの開発者や他の人間のスキルを発揮させること』です。『ちょっといいですか』、『30分ミーティングさせてください』などを入れるのは集中力を削ぎ、再び集中するまでに全員30分程度かかるという認識、相手が社長であっても、どんな人であっても時間を使っているという認識を持っておいた方が良いです。

3. 作業の工数はなるべく2人に聞き整合性を合わせる

工数を見積れない、見積り難い状況の時は、2人に聞いて、『作業者毎におけるスキルの把握と客観的な判断』が大事です。工数を多めに取る人もいるので、客観的に判断するべくもう独りに聞いておくと間違いないでしょう。

4. 仕様にない『これ出来てますか?』はストレスになるので言わない

場合によっては、仕様にない機能や見せ方を創り手側から提案する機会もありますが、ディレクターやプランナーがそれに甘んじて『よしなにやってくれるだろう』という認識でいると創り手はそれがストレスになります。

そもそも要件定義の時点、打ち合わせ等の時点で解決すべき問題を実装フェーズで解決するのであれば、『〇〇という点が足りなかったのですが、実装工数はどれくらいかかるでしょうか。また、〇〇という状態ではどうでしょうか』等のように自分が漏れていたという認識があるというのを相手に伝えると心象が良いでしょう。

社内でこういう態度を取ると、傲慢な人だなと思われ、信頼も失うのでやめましょう。
また、『この人は自分のミスを人に押し付けるのか』という認識になります。

5. 納期が不安であれば、余裕を持って進捗を聞き、PlanBを用意する

デザインをしていて、『戻しが多い、クライアントの意向に合わない』、もしくは『実装経験や前例がなく、実装してみて、確かめてみてみないと分からない』といったケースは往々にして起こります。

不確定要素の多い事案に対して想像で工数を出してもらい、それを社外のクライアント等に伝えてしまうともう変更が効かない場合があるので要注意です。また、作業者からアラートを貰うのは当たり前ですが、余裕を持って聞かなければ、PlanBを考えるのにも幅が狭まってきます。それが要件が満たないものであれば、場合によっては延期や補填を出さないといけない等、問題が大きくなる可能性があります。

6. 定期的に進捗を追う

4.と関連することですが、アラートを待つのではなく心配であったら進捗を逐次聞くか、1日の進捗度合いをテキストでも良いので流してくださいとプッシュしておく方が良いでしょう。ボトルネックになっている箇所にヒアリングにもなり、早めにプランが変更出来るというメリットもあります。

7. 問題が起こった場合先送りにしない

問題が起こってしまう事もありますが、問題が起こってしまった場合は、先送りにしないで『何故行ったのか、解決策は、代案は何か』を一緒に選択肢を沿えて上の人に尋ねるのが大事。また、ディレクション・窓口であるなら責任逃れをしないで、相手に理解出来る様に説明をしないと、『デザイン・実装スピード等のように作業者のスキルを責任にする』と信頼を失いますのでご注意を。

8. 『伝える力』がないだけで、作業者を無駄に同席させない

自分でクライアントのイメージを伝えられないからと言って、作業者をミーティングに同席させる人が多いですが、これは伝え方によります。クライアントに提案する時点での動きや見た目は他のサイトから『こういうイメージで、創ります』というようなものを幾つかピックアップすれば一々同席させる必要がありません。上記した様に作業者の時間を奪い、ストレスになるので『伝え方の幅を拡げる』事が大事です。

9. 勝手な想像で話しを進めない

『〇〇だと思ってました』という言い方をする人が居ますが、ミーティングであればどれだけ小さくても共通認識として議事録をとり、共有するのは必須です。社内でもそういう言い方をする人は、社外の人に対しても習慣で言ってしまう可能性が高く、勝手な想像で仕事を進め易く、相手との意見の相違が生まれて問題が生まれる原因となります。

10. 連絡をこちらで止めない(ボールを持たない)

連絡が途中で途絶えるディレクターは信用がありません。あらゆるケースを想定して、依頼や交渉を行うようにしないと進捗が遅くなります。大抵一つがおかしくなると、他の案件・タスクの調整が必要になるため、本当に自分ではコントロールできない場合を除く、ボールは持たないようにするのが大事です。

まとめ

上記した10個は、社会人の基本的に身につけておくべきスキルではありますが、特にディレクターという職種の方々には注意して絶対に守って頂きたい事ですね。

制作会社のディレクターの方は、上記の10個が守れないとクライアントの信用・信頼がなく、社内からの信用もされにくいのではないでしょうか。逆にこういった基本的なことをしっかり出来る事によって、チームやクライアントからの信頼を生み、他の案件に繋がるというケースも多いのです。

失敗して学んでいく事が多いディレクション力ですが、こういった基本事項を頭に入れて仕事をするのでは成果が変わってくるでしょう。是非実践してみてはいかがでしょうか。

少し値段は高いですが、Webの企画・開発・運用に携わる人、特にWebの事が余り分からないという方は絶対に読むべき一冊。
これを読んでいないディレクターとは仕事をしたくないかもしれないレベルで良い本だと思います。