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月刊事業構想2014年1月

読了: 約 8 分

会社の制度でクリエイターに年間10万円までセミナーや書籍購入を補助してくれる制度があるのでそれを使って最近話題の事業構想を定期購読してみました。
2014年1月号にグロースハッカーの特集があったのでそれについて少し書いておきます。

事業構想 2014年 01月号 雑誌

グロースハッカーとはどういう人材なのか

シリコンバレーのトップアクセラレータである500 Startupsのメンターとして活躍されているジェームスホロー氏によるとアンブレラ(傘)型人材がグロースハッカーである。
以前は水平に幾つかのスキルがあって、一つだけ突出している【T型】人材がよく聞かれている事でしたが、アンブレラ型は実際の傘の様に斜め下に向かって幾つか全体が伸びているというものです。
それらは例えば、リサーチ結果を高いレベルで出来る、開発、マーケティング、エンジニアリング、WEBというもので単なるマーケティングとは一線を画しており、
事業・サービスの成長に直結するもの全てである。

まとめると下記の6つが必要。

  • 共感力
  • 分析力
  • 創造力
  • 運用力
  • 組織力
  • コミュニケーション力

日本では傘型人材は育ちにくいと書籍には書かれていますが、個人的にはベンチャー企業にいけばかなりそれに近い形になりうると考えています。
何故なら企業のサイズが小さければ1人の役割や求められるものが多くなり、私自身の経験からデザイン・フロントエンドエンジニア・ディレクター、予算管理や顧客対応、請求書周りや客先訪問等幅広く行っており、広くスキルを高める事が出来るからです。
ただ、横に広げるだけでなくそれを縦に伸ばす力も必要になります。

マーケティングとの違い

GrowthHacker.jpの高橋氏のインタビュー記事より。

マーケティング

  • ブランディングに役立つ採用や資金調達がしやすくなる
  • ユーザ数や売り上げの増加に大きく貢献していないという指摘も
  • 本来は、製品開発はじめグロースハックの領域もカバーしているが最近はPR/集客等狭義で捉えられることも

これに対して、

グロースハック

  • ユーザー獲得に役立つ
  • 売り上げの増加に直結する
  • データ分析を元に製品開発に関与していく
  • 優れた製品自体を創る事そのものも成長の源泉という目的の共有に役立つ
  • 近年のマーケティングの課題を解決するものとしても注目

事業に直結するというのは、技術やデータ,PR,マーケティング、製品を出した後の改善も一環しているという事が売り上げに直結するのである。
具体的に言うと、サービスの立ち上げでも既存のサービスがない事やPR等までしか行わないマーケッターとは異なり、SEOやコンテンツ設計、データ分析等幅広く対応する事がグロースハッカーに求められる。

真のKPIを見極める

場当たり的な改善・検証を繰り返してもユーザーはついてきません。
ユーザーグロースを成功させるためには真のKPIの設定をする事が重要になります。

有名なサービスのKPIを見てみましょう。

  • Twitter : 5~10人をフォローする
  • Facebook : 登録後10以内に7名の友達と繋がる
  • nanapi : PVを増やす
  • Dropbox : ファイルを一つ置く

データドリブンの考え方を野球の世界にもたらし、少ない投資で高い効果を挙げたマネージャの活躍を描いた
有名な映画マネーボールでは真のKPIを『フォアボールの少ない投手』が設定されている。

真のKPIはいきなり見つかるものではなく、検証の結果見えてくるものである。
Facebookのそれはそれが継続率が一番高い等データを元に設定されているから。

nanapiのKPIである『PVを増やす』は実はグロースハックのセミナーなどでは設定してはいけないKPIとして有名。
理由は、結果指標であり、先行指標ではないから。
しかしnanapiではあえてPVを真のKPIとして設定してあらゆる施策を実行しグロースを実現。

nanapi代表取締役社長の古川健介氏
『真のKPIとして何を設定すべきか非常に悩んだ。ユーザー数か会員数か。nanapiにとって重要な3つの要素(UU数、月間訪問回数、1回あたりの閲覧PV)をかけ算した数値であるPVが適切だと判断した』との事。

サービスを成長させるための真のKPIを見つけ出し、仮説検証を繰り返していく事でグロース出来るという事ですね。

AARRRモデル

ユーザーの状態毎のKPI設定のためのデータ分析フレームワークの事

  • Acquisition: 獲得。様々なチャネルからユーザが訪問
  • Activation: 活性化。初利用のユーザが『良い』を体験する
  • Retention: 継続。ユーザが繰り返しサービスを利用する
  • Referral: 紹介。ユーザがサービスを他ユーザへ紹介
  • Revenue: 収益。ユーザが何かしたの課金行動を行う。

分析ツールの紹介
ユーザ行動の分析で継続率を改善
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81世代のグロースハッカー

nanapi代表取締役社長の古川健介氏、Sumally CEOの山本憲資氏、コミュニティファクトリー代表取締役社長松本龍祐氏へのインタビュー。

  • nanapiでは1記事あたりの検索流入ワード数を最大化
  • UU×訪問数×回遊数が重要
  • SEO・検索画面でのCTR向上。ワード、タイトル、文章の書き方の工夫
  • ユーザーの幅を考えて検索キーワードを散らしていれる
  • グロースハックは細部の繰り返しでなく大局的に捉える

これからはじめる SEO内部対策の教科書
検索にガンガンヒットさせるSEOの教科書

Sumally / グロースハックとなったアクション

  • KPI : サインアップコンバージョンレート・ユーザーの継続率
  • 非ログインユーザー向けのトップページを制作
  • 会員登録フォームを簡単に → サインアップコンバージョンレートが向上
  • サインアップフロー内で5人フォロー
  • モバイルアプリのメジャーアップデート → 継続率が上昇

最後に関しては詳細が書かれていないのであまり参考にはなりませんでしたが、プッシュ周りの変化によっても継続率は大きく変わりますね。

DECOPIC / グロースとなったアクション

  • KPI: 新規ユーザー獲得、継続率、起動頻度、課金売り上げ
  • 写真撮影後に『レビューを書いて下さい』とポップアップ
  • ユーザーの満足度が高い瞬間を狙って調整し続ける → レビュー増加、DL数増加、レーティングは4.5以上
  • デコレーションのテンプレート機能の実装 → デイリーアクティブユーザーの平均写真保存枚数が約30%伸長、継続率アップを呼ぶ

最後のDECOPICさんですがかなり参考になりました。正直これをツール化するだけでも売れる気がしますね。
レビューポップの最適化ツールってかなりニーズあると思います。

チームで行うグロースハック

ランサーズのグロースハックチームへのインタビュー。
ランサーズではグロースハックチームをマーケティング・開発・ユーザーサポートとは分けて創っている。
グロースハックチームは最長2日で、工数の少ないもの、パッと思いついたものをリリースしているようだ。

誕生から5年で依頼総額150億、依頼件数23万件、ユーザー登録21万人突破 / グロースハックとなったアクション

  • KPI: 依頼数、ユーザー登録数、売り上げ
  • 新規開発担当ラインとグロースハックラインを分割 → グロースハックチームは改善のみに集中できスピードアップ
  • プロフィールページの直接依頼ボタンを大きくした → クリック数180%UP
  • お気に入り登録導線を追加 → お気に入り登録数220%UP
  • トップページにランサーさんの顔写真を掲載、プロフィールへのリンクを設定 → プロフィールページのPVや直接依頼数UP

グロースとなった事例の1つ目のチームを分けるというのは非常に重要だなと感じています。
僕自身も大きな企業の中の新規のプロダクトチームで立ち上げから運用までやっていて、運用の中では改善と新規機能開発を同時に行っています。
そうするとどちらかに集中出来なくなり、フェーズ等を分けてリリースするしかありませんので当然スピードは遅くなります。
そういった意味で1つ目はかなり参考になりました。

尽力の対応が口コミ誘発

Zaim 代表取締役 閑歳孝子氏

  • KPI: ダウンロード数、ユーザー登録数、ウィークリーアクティブユーザー数
  • ダウンロードが新聞で2倍、ラジオ出演で9倍
  • 利用法を5ページにわたってフリックで世埋めるように → 登録率20%UP
  • 通信と非同期、オフラインでも使用可能に変更 → 継続率50%UP
  • 一日最大300件の問い合わせに人力返信 → オフラインでの口コミ誘発

一番成功したのはオフラインでも使えるようにしたこと。
また、面白いのがプッシュの文言。
『ずいぶんとお久しぶりです!家計簿のこと、覚えていますか?』と打ったら継続率にはさほど影響がなかったけど、Twitter等でつぶやかれて副次的な効果があったようです笑
利用法5ページはサービスの質で判断するべきで、今回のZaimのように個人情報がコアであったりするものの場合は必要かなと思いますがコミュニティアプリなのにそこまであったら逆に離脱率が上がりますよね。Twitterでもフォローさせたりはあると思いますが5ページはないですよね。

口コミグルメサイトの成長曲線

食べログとRettyの対談から。

  • Rettyの現在のUUは100万、口コミは60万件。サービス立ち上げ当初はTwitterでしかログインできない、ソーシャルメディアでの拡散を狙う
  • 食べログの最初はブログパーツを作りブロガーに簡単に書いてもらう工夫をした。
  • 食べログでは改善要望の掲示板を作り、要望が上がったらすう営業日中に直した。レビュアーさんと一緒に食べログを創っているという感覚
  • 食べログのユーザーを獲得していく上で最も聴いた施策はSEO
  • レビューが長ければ良いというわけでもなく、ある程度の件数と重みがあるレビューがあれば良い。
  • 質の高いレビューを投稿しているレビュアーには直接会ってコミュニケーションをする(食べログ)
  • 食べログよりも手軽な写真中心で投稿出来る食べラというアプリを出したが継続率が低かった。
  • 食べログ : KPIはUU、PV。売り上げにひもづく優良掲載店舗数やプレミア会員
  • Retty : KPIは投稿数。ユーザーにヒアリングしながらランキング等必要だと思われる機能を実装。ユーザー層によって見せる情報を変える
  • 食べログ : 投稿に関して、200文字以上の制限。アルゴリズムで文章の質が低いものは目立つ場所に表示しない。

まとめ

このように各サービスのグロースハックの詳細を書かれた書籍はこれまでになかったので非常に楽しく、
KPIの設定やDECOPICのプッシュのやり方、ランサーズのチーム構成、nanapi・食べログ・RettyからはSEOという所が非常に学びがありました。
同じようにWEBサービスを運営している、これからグロースハッカーになりたい人は是非一読の価値がありますね。

事業構想 2014年 01月号 [雑誌]

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